「市川猿之助さんのご両親が向精神薬中毒で死亡した」
と世間を驚かせたニュース。
向精神薬とは何なのか?
入手できるのか?
向精神薬で死ぬことはあるのか?
服用していた向精神薬はなんなのか?
現役薬剤師が解説します。
目次
向精神薬とは?
向精神薬とは、
「鎮静剤、精神安定剤、睡眠導入剤などを含む薬剤の総称」で、
医薬品としては「不安やパニック障害、睡眠障害など」の治療に用いられます。
どこで入手できる?
向精神薬は医療用医薬品であるため、
医師の処方箋は必須です。
そのため、一般の人が欲しくても購入できる薬ではありません。
医薬品の中でも管理は厳しい
医療用医薬品の中でも
管理は厳しくなっています。
薬局では何錠払いだしたか?等
帳簿を必ずつけており、
一部の向精神薬に関しては30日などの
処方制限もかけられているほどです。
どうして管理が厳しいのか?
向精神薬には依存性があり、
一部の依存症の患者の中で
闇市などで取引されている
ケースがあるからです。
実際の事件で、
処方箋をコピーし複数の薬局で繰り返し
向精神薬をもらう、
別のクリニックを受診して
同じ向精神薬を多くももらう。
などといった事件もありました。
また、自身では使用せず、
転売目的で薬をもらうケースもあります。
西成区等の闇市では
このような向精神薬の売買が行われています。
なぜ、依存するのか?
向精神薬の依存にはまってしまうと
「向精神薬を飲んだ時の快楽が忘れられない」
「飲まないともう眠れない」
等、麻薬の依存者のような衝動で薬を求めるケースがあります。
向精神薬で死ねるのか?
結論からいうと
死ねません。
普段家で生活を送っている
患者さんに処方されるお薬でもあるため、
簡単には死ねません。
簡単に死ねる薬が医師から処方されてしまうと、
うっかり多めに飲んでしまった、
量を間違えてしまった
となった際に大事件となります。
病院には認知機能が低下したお年寄り、
普段忙しく働いているサラリーマンも来るため
そのような
少し間違えただけで死ねる薬
など処方されません。
大量摂取だと死ねる?
結論からいうと
ありえないほどの量、むしろ
飲むことが困難な量、
入手するのが困難な量を
服用しないと死ぬとまでいかず
意識障害などは基本的に起きません。
つまり、実質、人間が飲める量での
摂取では死までは至りません。
仮に、少し多めに摂取したら死ねるお薬だった場合、
自殺希望者、うつ病の患者さんが
望んで摂取し自殺してしまうリスクもあります。
では、今回の向精神薬中毒とは?
向精神薬は仮に、大量摂取しなくても
少ない量で体に異常がでてしまう可能性があります。
風邪薬にも重大な副作用があるように
すべてのお薬に基本的には
入院が必要なレベルの副作用はあります。
一般の風邪薬などと比較すると、
向精神薬はそのリスクは高いとはいえますが、
今回はご両親2人、
2人そろってそのたまたまの
副作用が同時に起こったとは考えられません。
このような↓(動画参照)
大量摂取しなくても死亡する可能性がある向精神薬だった
と報道はあるものの、
2人そろって同時に死亡できるほどの
向精神薬は基本的にはないかと思います。
向精神薬の副作用について
向精神薬の副作用は神経伝達物質に作用する
薬が多いため、
様々な副作用報告があります。
眠気、体重増加、頻脈などがありますが
中には
「突然死」と
報告もある向精神薬もあります。
突然死と薬の因果関係は不明ですが、
薬剤師として働いていて、
向精神薬を服用している患者さんで
この「突然死」を疑うような
患者さんの死、副作用は聞いたこと、みたことはないのが現実です。
前述したように
死が頻発して起こるような
薬は基本的に市場には出回りません。
実際のとある向精神薬の説明書です↓ 突然死の副作用報告が掲載されています。
どの向精神薬を飲んでいたのか?
向精神薬と言っても、たくさんの種類、製品があります。
猿之助さんのご両親が何の向精神薬を服用していたか
メディアでは明らかにされていません。
これからもされないでしょう。
この薬名が公開されてしまうと、
自殺希望者が望んでその薬を医師に頼み入手したり、
現在、治療で使用されている人も、自殺で使用、もしくは
怖くてもう飲めなくなってしまう可能性があるからです。
その薬を販売している製薬会社も大打撃をうけるでしょう。
今回、病院へ運ばれたあと向精神薬の血中濃度
(体の中に向精神薬がどのぐらいあるか?)
を測定したとの事ですが、
報道の内容から、そこまで多くの量は摂取されていなかった
ということが考えられます。
しかし
たまたま少量で二人とも亡くなってしまった。
とは考えにくいです。
不可解な点
今回の死は、「向精神薬中毒」と大々的に報道はされているものの
謎が多いです。
前述した通り、向精神薬の大量摂取で死ぬのは難しく、
たまた体に合わず、副作用が出て、
2人とも亡くなったということは副作用の
起こる可能性、死に方から考えても
それは考えにくいです。
つまり、
向精神薬は飲んだとしても、直接的な死へ
導いたのは別の方法、要因だったのでは?
と考えられます。
向精神薬で死ねるは間違い
今回このような報道がでたことにより
「向精神薬で死ねるんだ」と勘違いしてしまう人が
増えることが心配です。
実際は、死ねません!
用法用量を守らず、
中毒、依存者になり、闇市で向精神薬を求める人はいますが、
基本的に死へ直結しません。
日本でも問題視されている向精神薬
日本でも向精神薬の依存が問題視され
デパス(エチゾラム)は元々処方制限がなかった薬でしたが
今は30日制限がかかるなど、
日本でも向精神薬の依存はかなり問題視されています。
依存性が問題になっているハルシオン(トリアゾラム)は
アメリカの一部の州では依存性が問題になり
流通が禁止されています。
死に直結しなくても、
用法用量を守らないと、
健康被害に繋がります。
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